2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 剛 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80332633)
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Keywords | イオン液体 / ドメイン構造 / 回転異性体 / 凝固・融解 / 熱物性 / 緩和時間 / ダイナミクス / ナノ粒子 |
Research Abstract |
イオン液体は様々な特異的な性質を示し、中には液体の概念の転換を迫るものもある。本研究では、イオン液体をイオン液体ならしめている要因を、多角的な観点から解明することを目的としている。本年度の研究成果のうち、代表的なものを4つまとめる。 1) 凝固・融解過程の解明 : 結晶⇔液体の相転移に焦点をあて、超高感度熱分析とラマン散乱等を併用し、熱物性と構造を関連づけながらイオン液体の特異性について解明している。C_n-methy-imidazohumカチオンのハロゲン化物について、3つのユニークな熱現象(振動的凝固・融解、間歇的結晶化、'可逆的融解・結晶化)を発見した。これらの特異的な現象は、すべて、コンフォメーションの変化と相変化や熱履歴などめ熱現象がリンクしていることに起因すると結論した。 2) 相転移におけるスローダイナミクスの解明 : 1) の熱現象をダイナミクスの立場から、NMRの緩和時間(T_1、T_2)で検討した。低周波数NMRを用いて、^1HからC_n-methyl-imidazohumカチオン全体のダイナミクスを、高分解能NMRを用いて、^<13>Cから各炭素のダイナミクスを検討した。結晶化やガラス転移以外に、各原子の運動が凍結する状態を見つけた。また、炭素の運動性の観点から、タイプの異なるグループの運動性が、複雑な熱挙動を示す一つの原因であることを明らかにした。 3) イオン液体の水溶液化学 : エンタルピー、エントロピーの部分モル量を求め、イオン液体を構成する代表的なアニオンについて疎水性・親水性を定量的に評価した。 4) イオン液体中に生成する金ナノ粒子の構造研究 : イオン液体を用いた新規なナノ粒子合成法で生成する金ナノ粒子について、小角X線散乱実験を行い、粒径サイズを決める要因について検討した。イオン液体の種類、金の濃度、表面張力、粘度が影響していることが明らかになった。
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