2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 耕一 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (90232678)
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Keywords | イオン液体 / 時間分解ラマン分光法 / 振動冷却 / 時間分解けい光分光法 / エキサイプレッス / 回転緩和時間 / 芳香族性 |
Research Abstract |
研究代表者は,平成18年度にイオン液体中でのさまざまな高速動力学を時間分解分光法で観測する研究を行った.以下に2種類の研究結果について述べる. 1.芳香族イオン液体中での溶質-溶媒生成および回転緩和時間の増加 芳香族化合物である2-アミノキノリンのピコ秒時間分解けい光スペクトルを8種類の分子液体(ベンゼン,トルエン,クロロベンゼン,アセトニトリル,テトラデカン,スクアラン,シリコンオイルおよび液体パラフィン)および8種類のイオン液体(pmim[PF_6],bmim[PF_6],bmimSO_4Et,bmim[BF_4],N_<1888>Tf_2N,P_<666 14>Tf_2N,P_<666 14>CIおよびP_<666 14>Tf_2N)の溶液中で測定した.その結果,芳香族の分子液体およびイオン液体溶液中では溶質-溶媒会合体に起因すると思われるけい光帯を観測した.芳香族イオン液体の溶液中では,その他の溶媒中に比べて回転緩和時間が顕著に増加した.これらの実験結果は,芳香族のイオン液体中において部分構造が存在することを強く示唆している. 2.イオン液体中での振動緩和 最低励起1重項(S_1)状態のtrans-スチルベンを「ピコ秒温度計」として用いてemimTf_2N溶液中およびbmimTf_2N溶液中で測定した振動冷却温度を,それぞれのイオン液体の巨視的な熱拡散係数と比較した.その結果,分子液体中の場合とは異なって,イオン液体中での振動冷却速度は溶媒の熱拡散定数と相関を示さないことが分かった.この実験結果は,これらのイオン液体の中に局所構造が存在するために,微視的なエネルギー移動速度と巨視的な熱伝導特性の間の相関が失われると考えると矛盾なく説明される.
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Research Products
(3 results)