2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 耕一 学習院大学, 理学部, 教授 (90232678)
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Keywords | イオン液体 / 巨視的物性 / 微視的溶媒和構造 / 局所構造 / フェムト秒 / 近赤外分光法 / スチルベン / 溶媒和電子 |
Research Abstract |
本研究では,イオン液体の微視的な構造と動力学の解明を通じて,イオン液体のもつ多彩な物性の起源を探ることを目的とした.ピコ秒からフェムト秒の時間領域で起こる溶液中の動的過程は,溶液自身の物性の発現やその中で進行する化学反応に本質的な影響を与える.イオン液体を分子の観点から研究する場合に,ピコ秒やフェムト秒の時間分解測定を行う超高速分光法は有力な研究手段となる.本研究では,フェムト秒時間分解近赤外分光法とピコ秒時間分解けい光分光法などの超高速分光法を主たる実験手段として利用した.イオン液体の性質が,巨視的なレベルでの測定を行った場合と微視的なレベルでの測定を行った場合でどのように異なるかに注目し,イオン液体の「局所構造」や「階層性」について議論した.特に本年度は,トランススチルベン分子の光イオン化によって生成した電子のイオン液体中における高速溶媒和過程をフェムト秒時間分解近赤外分光法およびフェムト秒時間分解可視分光法を用いて測定した.溶媒和電子の示す近赤外領域の吸収帯の極大波長の時間依存性を解析することで,イオン液体中では電子の溶媒和の速度定数が複数観測されることを明らかにした.イオン液体中での溶媒和過程の特性を示すことができた.
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