2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大野 弘幸 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (00176968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (60313293)
松見 紀佳 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (40323745)
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Keywords | イオン液体 / イオン伝導体 / 次元制御 / 自己組織化 / 液晶 / リチウムイオン伝導 / 熱分析 / 電気化学 |
Research Abstract |
イオン液体(有機室温溶融塩)の特徴はイオン構造を自由にデザインできることである。本年度は高いイオン伝導性に注目し、新規イオニクス材料としてイオン液体の機能デザインを実施した。特に液晶性を利用したイオン液体の自己組織化を中心に検討した。また並行してイオン液体の高分子化およびイオン伝導特性の解析を進めた。双方から得られた結果から、イオン伝導方向とイオン種を共に制御した新しい固体電解質の設計指針を得た。 適当なアニオンを持ったイミダゾリウム塩に長鎖アルキル基、もしくは長鎖フルオロアルキル基を導入することで、次元制御された新規イオン液体を数十種類合成した。これら一連の両親媒性イミダゾリウム塩の集合体について詳細に熱分析を行った結果、昇温過程でスメクチックA相、降温過程でスメクチックB相が形成されることを明らかにした。さらに、得られた集合体に適当量のLiBF_4塩を添加し、液晶相を示す温度範囲を拡大させることにも成功した。この時S_A-S_B相転移温度とエンタルピーには変化がみられず、相転移がアルキル鎖の結晶化に基づいていることを見出した。この過冷却S_B相は、溶融したイオン場と結晶化したアルキル鎖からなる特徴的な相であると考えられる。一方、イミダゾリウムのN位に導入するアルキル基を検討し、エチル基が最も有効であることを明らかにした。 一方、イオン液体の高分子化では、高分子主鎖と荷電部位の間にスペーサーを導入することで、重合後のイオン伝導度の低下を抑制できることを見出した。また、リチウム塩添加によって比較的高いリチウムイオン輸率が得られることも明らかにした。 以上の結果をもとに、今後さらに研究を進める。適切に次元制御された系は溶融したイオン場を与え、塩添加により生成させた任意のイオンの輸送に有効なマトリックスとなることが期待できる。
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Research Products
(5 results)