2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大野 弘幸 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授 (00176968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (60313293)
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Keywords | イオン液体 / イオン電導性高分子 / 次元制御 / 機能性 / 電気化学 / 生体高分子 / タンパク質 / エネルギー |
Research Abstract |
イオン液体の高いイオン伝導性とデザイン性に注目し、次元構造と機能が制御された系の創出を検討した。平成18年度は次元制御の例として、イオン液体の自己組織化および高分子化を進め、当方的な系では達成できない機能の発現を目指した。機能制御の例としては、生体分子を未変性のまま溶解でき、生体物質の反応場として有効なイオン液体のデザインを検討した。 イミダゾリウム塩等の有機塩の構成イオンに長鎖アルキル基やフルオロアルキル基を導入し、イオンが一次元もしくは二次元方向のみに移動できる系を数十種類合成した。ここに水素欠陥を導入し、次元制御された場での効率的なプロトンホッピングを実現させた。イオン液体の高分子化では、荷電部位や分岐鎖の構造を検討し、高いイオン伝導度とリチウムイオン輸率を得た。新規な機能性イオン液体としては、特にアミノ酸をアニオンに用いた系にっいての研究を進めた。これらはキラル液体となる上、各種機能席を導入できる。100℃以上の高温で数十時間もキラリティーを保持できる系を得た。同時に粘性を低下させることにも成功した。また、疎水性官能基を導入した系を作成し、これらが水や有機溶媒と特異な混和状態を作ることを見出した。 一方で、多糖類やポリペプチド、天然ゴムなどの溶剤となるイオン液体を設計した。一部は室温で溶解させることにも成功した。酵素をイオン液体中で機能させる試みを進め、チトクロムcの電子移動反応には系中に塩素イオンなどを存在させることが有用であることを見出した。イオン液体に蛋白質を変性せずに溶解させるための工夫として、タンパク質のポリエーテル修飾法を改善した結果、長鎖アルキル基をさらに導入することで水に溶けずイオン液体に溶ける系を得た。これらは従来の水系の酵素反応では行えなかった反応系の創出や新規生物燃料電池の開発にっながるものであり、今後の研究展開に向けて非常に重要な結果である。
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Research Products
(6 results)