2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 一彦 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30126320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 明雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (50262259)
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Keywords | クラスター / 溶媒和 / 磁気共鳴 / 化学反応 / ダイナミクス |
Research Abstract |
レーザーによる瞬間的な加熱を利用したイオン液体の気化およびその質量分析を行い、イオン液体のクラスター構造についての観測を行った。イオン液体に炭素などのナノ粒子を混合し、レーザー脱離で気化した際のカチオンモード質量スペクトルを測定した。BmimX(X:アニオン)の場合、[Bmim_2X]^+のようなイオン液体クラスターが観測されたが、これより大きなものは得られなかった。アニオンモードでも同様で、[BmimX_2]^-がほぼ最大のクラスターであった。 ラジカルや三重項のESR分光研究ではイオン分子を中心に並進拡散に対する知見を得ることを目指した。イオン液体に溶質を溶解する際になるべくイオン液体のカチオンとアニオンのネットワーク構造を破壊しないようにするため、イオン液体の構成イオンと構造が近いラジカルイオン種としてBmimCProxylを合成し、これを用いた計測を行った。BmimCProxylをBmimPF_6に溶解させる場合、一部のPF_6アニオンがCProxylアニオンに置き換わるのみである。このようなサンプルでCProxylのEPR観測を行い、スピン交換速度と線幅の関係からCProxylの並進拡散速度定数k_<dif>の決定を試みた。CProxylのEPR線形の濃度依存性である。高濃度域では高速の分子間電子スピン交換が起き、歳差運動寿命が短くなることで線幅が細くなっている。この濃度依存性からCProxylのk_<dif>を求め、その温度依存性からアレニウスパラメータを決定した。活性化エネルギーは8[kJ mol^<-1>]となり、粘性の温度依存から求めた並進拡散の活性化エネルギー43[kJ mol^<-1>]よりもはるかに小さくなった。
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