2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形分光法によるイオン液体中のエネルギーおよび分子ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
17073012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 佳文 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60221925)
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Keywords | イオン液体 / 過渡回折格子法 / 時間分解蛍光 / 拡散 / 超臨界二酸化炭素 / プロトン移動反応 |
Research Abstract |
本研究では、非線形分光法の一種である過渡回折格子法(TG)法やその他種々のレーザー分光法を、種々のイオン液体やイオン液体中の反応系に適用し、イオン液体の構造と反応性の解明を進めていくことを主な目的とする。今年度、主に以下の3項目にわたって大きな成果を挙げた。 (1) イオン液体/二酸化炭素混合系イミダゾリウム系のイオン液体に対して二酸化炭素加圧下でのTG測定を行い、熱拡散係数並びに音速を評価した。その結果熱拡散係数はほとんど変化を示さないが、音速は一旦減少した後飽和条件に近くなると逆に増加することが明らかとなった。また溶質分子の拡散の測定を同時にすすめ、拡散係数が加圧によりひと上変化することがとなった。 (2) 反応と拡散ヨウ化物イオンの紫外光励起で生じる反応中間体の二ヨウ化物イオンの拡散係数をナノ秒TG法により測定し、その拡散係数が電荷の効果により遅くなっていることが明らかとなった。また二ヨウ化物イオンの拡散律速反応速度と比較検討を行ったところ、二分子会合に対するクーロン反発がイオン液体の雰囲気により強く遮蔽されていることがわかった。この遮蔽の効果はイオン液体の誘電率で評価されるものより非常におおきいことが明らかになった。 (3) 分子内プロトン移動反応と溶媒和ヒドロキシフラボン系の電子励起状態におけるプロトン移動反応を、時間分解蛍光法により評価した。ストリークカメラを用いた実験では、プロトン移動速度はイオン液体中での溶媒和の平均速度よりも速く、特にリンをカチオンとするイオン液体ではその差が非常に大きいことが明らかとなった。現在、光カーゲート法により高速初期過程の詳細を検討している。
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