2005 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学デバイス用イオン液体の機能発現に関する研究
Project/Area Number |
17073013
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30237911)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
宇井 幸一 東京理科大学, 理工学部, 助手 (60360161)
|
Keywords | イオン液体 / 溶融塩 / 電気化学 / イオン導電性 / 粘性率 / 燃料電池 / 電気二重層キャパシタ |
Research Abstract |
低粘性率、高導電率を有するイオン液体、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムフルオロハイドロジェネート、EMIm(FH)_<2.3>Fをはじめとするジアルキルイミダゾリウムフルオロハイドロジェネート塩についてPGSE NMR測定により、イオン移動度に関する知見を得た。またグロータス機構による高速プロトン移動がないことも明らかにした。また、カチオン上のアルキル側鎖の長さによってイオン会合状態が異なるが、必ずしも会合度が高くなると導電率が下がる傾向にはなく、会合体の構造が粘性率、ひいては導電率に大きく影響していることが明らかとなった。また、アニオン中におけるHF組成を制御することによって得られるEMIm(FH)_nFについて1.0<n<2.6の組成範囲で状態図を作成し、この組成範囲でn=1,1.5,2の3種類の化合物塩が存在することを明らかにした。粘性率はnの減少とともに増大しそれに伴って導電率は減少する。熱的安定性はnの減少とともに向上する。一方電気化学窓はnの値にあまり依存しなかった。これらの研究により、応用目的に応じてフルオロハイドロジェネートアニオン構造を制御することが可能になった。EMIm(FH)_nFを電解質に用いた新しい燃料電池を提案し、実際に発電が可能であることを実証した。この燃料電池は水素の酸化で生成するプロトンや酸素の還元で生成するオキサイドイオンが直接イオン伝導に寄与しない点ではアルカリ形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池に似ているが、(FH)_3F^-がカソードへ、(FH)_2F^-がアノードへと3:4の比率で輸送されるため、負電荷はアノードへ、逆に水素はカソードへ、いずれもフルオロハイドロジェネートイオンを介して運ばれるという独特の機構により作動する。本イオン液体のアニオンのHF組成を制御することにより熱的安定性を向上させ、現在固体高分子形燃料電池等で課題となっている100℃以上での発電が期待できる。我々はこの新しい燃料電池をフルオロハイドロジェネート形燃料電池(FHFC)と命名した。
|
Research Products
(8 results)