2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073016
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 靖 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50286639)
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Keywords | 室温イオン液体 / 表面処理 / めっき / コバルト / 鉄 / パラジウム |
Research Abstract |
室温イオン液体として1-ブチル-1-メチルピロリジニウム(BMP^+)-ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(TFSI^-)を用い,この系におけるコバルト,鉄およびパラジウム化学種の電気化学的挙動について検討を行った.コバルトについては,Co(TFSI)_2を溶解することでCo(II)を導入した.Co(II)は白金,ニッケルまたは銅電極上で金属Coまで還元できることが明らかになった.析出反応の過電圧はいずれの電極上においても室温では1.5V程度と大きいが,温度を200℃とすることで過電圧を大幅に減少させることができた.また,200℃における定電流による電析実験において結晶性が高く光沢のある析出物を得ることができた.一方,Co(II)を含むイオン液体に少量のアセトンを添加することによっても析出反応の過電圧を室温でも大幅に減少させることができたが,結晶性の低い析出物しか得ることができなかった.これらの結果から,Co(II)はイオン液体中でTFSI^-とのある種の錯体を形成し,Co(II)が電極表面に十分に接近できないために電荷移動が著しく遅くなっていると推定された.温度を上昇させることによってCo(II)に配位しているTFSI^-の解離が促進され過電圧が減少したと考えられる.また,アセトンを添加した場合,アセトンのドナー性がTFSI^-よりも高いためアセトンが嵩高いTFSI^-に代わりにCo(II)に溶媒和し,Co(II)が電極表面により近づくことができ電荷移動速度が向上したと推定される.鉄についてはFe(TFSI)_2を溶解させることによってFe(II)を導入した.Fe(II)の還元挙動はCo(II)のそれとほぼ同様であった.パラジウムについてはPdBr_2とBMPBrを1:2のモル比で添加することによって臭化物錯体として導入した.PdBr_4^<2->はPdまで還元でき,室温においてもある程度の結晶性を持った析出物が得られた.臭化物錯体の場合,臭化物イオンを介した電荷移動反応が発現している可能性が考えられる.
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