2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073016
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 靖 Keio University, 理工学部, 准教授 (50286639)
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Keywords | イオン液体 / EQCM / 電析 / スズ / 銀 |
Research Abstract |
イオン液体として1-ブチル1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド(BMPTFSA)を用い, スズの電析および電気化学水晶振動子マイクロバランス(EQCM)を用いた電析反応のその場測定などを行った. BMPTFSAにスズ金属をアノード溶解することによってスズイオンを導入し, その電気化学反応について検討を行った. BMPTFSA中におけるスズの電極反応はこれまでに検討を行ったコバルトや鉄などに比べて可逆的であり, 室温においても容易に結晶性の金属スズが析出することが明らかになった. また, スズイオンの拡散係数の値は価数が等しいコバルトや鉄の拡散係数と近く, スズイオンはコバルトなどのイオンと同様に, TFSAの酸素原子による6配位構造をとっていることが推定された. 粘性率が高いイオン液体中において発振法によるEQCMを用いることは困難であったが, インピーダンス法によるEQCMが使用できることがわかった. そこで, BMPTFSA中において銀の析出溶解反応について金電極によるEQCM測定を行った結果, 銀の析出による電極質量の増加およびアノード溶解による質量減少を定量的に観測することができた.また,銀の析出溶解反応に関しては電流効率はほぼ100%であることが確認できた. 一方, インピーダンス法によるEQCMでは質量変化と同時に電極近傍の液体の粘性率と密度の積に関する情報を得ることができる.銀が析出する際には粘性率と密度の積の減少が,銀がアノード溶解の際には粘性率と密度の積の増加が観察された. これは, 電極反応の進行に伴って電極近傍のイオン液体中の銀イオン濃度が変化し, その結果として粘性率と密度の積が変化していることが明らかなった.
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