2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073016
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 靖 Keio University, 理工学部, 准教授 (50286639)
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Keywords | イオン液体 / パラジウム / ナノ粒子 / ニッケル / 電析 / フェロセン / 拡散係数 / 電荷移動速度 |
Research Abstract |
ハロゲン化パラジウム(PdX_2,X=Cl^-,Br^-)を添加した1-ブチル-1-メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド(BMPTFSA)イオン液体中で定電位陰極還元を行うことによって,直径数ナノメートルのパラジウム金属粒子が生成することを見いだした.パラジウムのナノ粒子の生成にはイオン液体を構成するカチオンの構造が関与していることが示唆された. ニッケルのTFSA塩を添加したBMPTFSAから電気化学的に金属ニッケルを析出させることが可能であることを見いだした.また,二価のニッケルイオンの配位環境,核生成過程および拡散係数などを明らかにした. カチオンが異なるいくつかのイオン液体中におけるビス(シクロペンタジエニル)鉄の電極反応について調べ,拡散係数および電荷移動速度を見積もった.拡散係数と電荷移動速度はいずれもイオン液体の粘性率に依存することが明らかとなり,電荷移動速度はイオン液体の運動性の影響を強く受けることが示唆された. これらの結果から,BMPTFSAイオン液体からの金属析出の特徴として,粘性率が高いため物質移動速度と電荷移動速度が一般に遅いといえる.電荷移動速度が遅いことは平滑な析出物を得る上では必ずしも不利とはならないが,物質移動速度が遅い点は実用的には望ましくない.一方,析出する金属の結晶成長は遅く,析出条件によってはパラジウムのように還元によって生成した金属微粒子が電極上に析出せずイオン液体中に分散することが明らかになった.これは金属微粒子の新しい製造方法として有望である.
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