Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 大志 山口大学, 農学部, 准教授 (50301726)
柳原 大 東京大学, 大学院, 准教授 (90252725)
中陦 克己 近畿大学, 医学部, 講師 (60270485)
稲瀬 正彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80249961)
中里 泰三 順天堂大学, 医学部, 講師 (80155697)
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Research Abstract |
適応的行動を実現する神経機構を解明する上において「脳機能(運動機能、認知・情動機能)と身体性の相互作用」が重要な鍵を握ると考えられる.そこで,19年度は,「身体性や情動・自律神経機能などの内部環境により規定される拘束条件から,脳はどの様なプロセスで最適な行動のプログラムの生成をするのか?」を解明することを目的として研究を遂行した.特に,1)随意的な運動とこれに随伴する非随意的運動の統合メカニズム,2)運動機能と自律神経機能の統合制御機構,の2点に重点を置いて研究を進めた. サル,ネコ,ラット,マウスなどの動物を用いた研究により以下の3点が明らかとなった.1)二足歩行や四足歩行を可能にする姿勢制御の仕組みが大脳皮質・大脳基底核・大脳辺縁系,脳幹・小脳に内在し,この姿勢制御系が,歩行の開始や障害物の回避など随意的な運動機能のみならず,定常的な歩行動作や筋緊張レベルなどの非随意的な運動の制御に重要な役割を持つ.2)大脳基底核や辺縁系,視床下部における神経伝達物質(特にドーパミン系やセロトニン系)の働きが,脳幹への投射系に作用して,行動の選択や他個体との社会性形成に関与する.3)これら認知的神経回路網と情動的神経回路網の接点が中脳レベルに存在する. これらの成績は,適応的な行動発現には,大脳皮質や大脳基底核・小脳などにより構成される認知的機能を果たす神経回路網の作用に加えて,大脳辺縁系・脳幹・脊髄などから構成される情動運動系の神経回路網の相互作用により,適応的な運動機能が構成されている可能性を示唆する.加えて,随意的・認知的な行動と情動行動との選択・切換えには,中脳におけるGating functionが重要な役割を担うと推定される.
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