Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 大志 山口大学, 農学部, 准教授 (50301726)
柳原 大 東京大学, 大学院, 准教授 (90252725)
中陦 克己 近畿大学, 医学部, 講師 (60270485)
吉見 建二 順天堂大学, 医学部, 助教 (40459136)
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Research Abstract |
手足体幹の運動は脊髄反射経路を介して誘発される. 特に, 外界環境にリアルタイムに適応して運動を制御するためには, 体性感覚情報と上位運動中枢からの情報を統合して, 目的とする運動とこれを実現させるための姿勢制御が必須となる. そこで本年度は, 筋緊張レベルの調節に係る網様体脊髄路と末梢からの体性感覚情報とが脊髄レベルにおいてどの様に相互作用し, 姿勢制御に関与するのかを解析した。 ネコを実験動物に用いて, 姿勢筋緊張を制御(抑制)する網様体脊髄路系を電気生理学的手法にて同定した. この筋緊張抑制系は, 延髄網様体から脊髄の抑制性介在細胞を介して, 伸筋および屈筋支配α運動細胞, γ運動細胞, 脊髄反射を媒介する介在細胞群, そして, 感覚情報を伝達する一次求心性(感覚)線維の活動を抑制する. 一方, この系は, 脊髄のレベルで屈曲反射経路からの抑制作用と, 一部は筋固有受容器(筋紡錘・腱器官)からの興奮性入力を受ける. 網様体脊髄路系は頸髄・胸髄・腰髄・仙髄のレベルに両側性に作用を及ぼすので, この系が作動すると, 全身の筋緊張が減弱・消失する. レム睡眠時における全身の骨格筋活動の消失はこの系の活動により誘発されると考えられる. その一方で, 覚醒時にもこの筋緊張抑制系が活動すると考えられる. 例えば, 歩行運動時には, 骨格筋や皮膚, 関節に由来する下肢の屈曲反射経路や筋固有受容器からの感覚情報と筋緊張抑制系からの情報が, 脊髄レベルで統合され, 運動に必要な筋緊張レベルがリアルタイムに制御されると考えられる.
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