2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質運動関連領野が創る「見なし情報」による随意運動制御
Project/Area Number |
17075003
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 雅文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80119635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 悌也 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (90250844)
坂本 一寛 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80261569)
|
Keywords | 見なし情報 / 随意運動制御 / 生物・生体工学 / 脳・神経 / 実世界 / リアルタイム性 / 拘束条件 |
Research Abstract |
生命システムの認知機能や運動機能は環境との調和的関係を作り出すための機能である。これまでの運動制御は、環境とシステムを分離し、環境を限定したときに求められた継時的秩序の法則を用いているが、これは無限定環境下でのリアルタイムな制御には適しない。われわれは予測不可能的に変化する実環境に柔軟に適応する「共時的な秩序を生成する法則」を明らかにすることで、「大脳皮質運動関連領野が創る「見なし情報」による随意運動制御」の研究を行った。無限定な環境にある生命システムが環境と調和的な関係を創らなければならないが、どのような調和的関係を作るのかということが拘束条件である。この拘束条件は調和的な関係を「仮設」することに相当するので「見なし情報」であり、「この見なし情報」無しには生命システムは機能しない。 運動には「姿勢」と「運動」の二側面があり、前者は重心と関連して姿勢を適切に保持する過程であり、後者は身体を動かす動的過程である。双方の協調・統合により適切な運動が発現する。前頭前野や大脳皮質は目的・目標を達成するために方向と速度を拘束条件として生成する。小脳は随意運動の速度ベクトルを生成する。また、基底核-脳幹系は筋緊張を制御する拘束条件を生成する。本研究では運動システムは階層的に制御されており、各階層では上位からの拘束条件を満足しながら、下位の階層に対する拘束条件を生成し、最終的には環境と直接相互作用する筋骨格系が拘束条件を充足する方法を採用して次の研究を行った。いずれも所期の目的を達成している。 1)無限定環境に適応する2足歩行の研究 2)リーチング課題における上位拘束生成充足機構のモデル化 3)リーチング課題における下位拘束生成充足機構のモデル化 4)心理実験による拘束充足過程の観測のための装置の開発 5)ロボットによる実験のための設計とその製作
|
Research Products
(13 results)