2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン行動を行う昆虫の社会性発現機構の構成論的理解
Project/Area Number |
17075005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 順 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50233127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺間 一 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50184156)
川端 邦明 理化学研究所, 分散適応ロボティクス研究ユニット, ユニットリーダー(研究職) (90301754)
|
Keywords | 振るまいモデル / ニューロモジュレータ / NO / マルチエージェント / コオロギ / シミュレーション / 闘争行動 / 神経回路網 |
Research Abstract |
相互に闘争行動や交尾行動を行うコオロギに関する生態学的・神経生理学的モデル化を目指した.具体的には,(a)機能を実現する神経回路網,神経回路モジュールのモデル化(b)上記の機能を発現する信号伝達ならびに行動生成メカニズムのモデル化,のそれぞれを行った. 前者については,通常のニューラルネットワークモデルに素子間の位相の効果を組み入れたニューロモジュレータ(神経修飾物質)モデルを適用している.具体的にはモジュール化された行動の選択が,NO(一酸化窒素)の脱抑制という効果により実現されているとの仮説を基に,神経回路モデル化の基礎的検討を行った.中枢神経では主にGABA(γ-アミノ酸)が伝達物質として働き,シナプス後細胞を抑制している.NOはこのGABA伝達系を抑制する効果があり,結果としてシナプス後細胞を興奮させることとなる.コオロギの闘争時の行動としては,闘争行動,回避行動の2種類がある.この2つの関係性を例に,脱抑制による神経回路モデルの構造に関する基礎的検討を行った. 後者については,コオロギ間インタラクションモデルの構築ならびに改良を行った.以下の手順をとっている.(1)コオロギの群行動について,再現すべき挙動を複数個列挙する.(2)それぞれの挙動の再現状況について評価指標を定める.(3)コオロギの振る舞いモデルを構成する.この際にコオロギに関する生理学的知見や,観察結果モデル中に組み入れる.(4)振る舞いを規定する行動パラメータを定義する.(5)2を最適化する4の行動パラメータを何らかの最適化手法を用いて決定する.(5)その内容をシミュレータで再現し,実際のコオロギとの差異を議論する.その結果を踏まえて1に戻る.コオロギの振る舞い観察実験や生理学実験を行うことで挙動計測結果の精度を向上させるべく努める. その他上記の成果の工学的応用について検討している.
|
Research Products
(6 results)