2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン行動を行う昆虫の社会性発現機構の構成論的理解
Project/Area Number |
17075005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 順 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50233127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺間 一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50184156)
川端 邦明 独立行政法人理化学研究所, 分子情報生命科学特別研究ユニット, 専任研究員 (90301754)
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Keywords | 移動知 / コオロギ / 群行動 / 自己組織化 / 数理モデル / 微分方程式 |
Research Abstract |
近年クロコオロギの闘争行動が,過去の対戦の結果や感覚情報の遮断によって変容することが分かってきた.本研究では,過去の経験や異なるモダリティの感覚入力が闘争行動の切り替えにどのような影響を及ぼすのかを調べるために,コオロギの闘争行動に関する感覚-行動モデルを構築し,実験的に検証した. 感覚-行動モデルとは,各モダリティの感覚情報の有無や前回の対戦結果に応じた入力から,喧嘩の際の行動選択が確率として出力される重み付きニューラルネットワークモデルである.モデル構造はMDL基準を基にして構築した.これより,主に下記の知見を得た:(a)闘争行動及び回避行動の発現には,触角と体表面からの入力が効いている.(b)闘争行動及び回避行動の発現には,内部状態の影響をほとんど受けず,感覚入力で決まる.(c)威嚇行動や攻撃行動(Tactical combat)の局面での行動選択はほぼ触角からの入力に頼っており,また触角からの入力は闘争行動を促進させる働きがある. 人為的に感覚器を切除したコオロギ(ハンディキャップコオロギ)を用いて行動実験を行い,その結果から感覚-行動モデル内のパラメータを推定した.さらに,生理学的知見からクロコオロギの闘争行動との関与が示唆されている脳内オクトパミン(OA)についても検証を行った.OAと同様の機能を示す作動薬であるCDMを実験前に投与してから,ハンディキャップコオロギの行動実験を行うことで,OAが闘争行動に及ぼす影響や,各感覚入力とOAの関係を調べることができた. 感覚-行動モデルのパラメータから示唆された知見を基に,実験結果を説明可能な闘争行動発現機構の仮説を立てた,触角を遮断する実験とCDMを注入する実験を例にとり,提案した仮説が行動実験の結果を説明できることを示した. その他,カイコガ等様々な動物の適応行動の比較検討を行った.またそこで得られた知見のロボットへの適用も行った.
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Research Products
(6 results)