2007 Fiscal Year Annual Research Report
感覚・運動連関の実時間拘束ダイナミクスの構成論的理解
Project/Area Number |
17075006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30023310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 敏之 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 准教授 (60323820)
郷古 学 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30447560)
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Keywords | 内部モデル / 拘束条件 / 文脈情報 / 到達運動 / 運動学習 / 運動制御系 |
Research Abstract |
対象物操作や道具の使用をはじめ,日常生活で人間が行う腕運動は,環境から外力を受ける状況下でなされることが多い.この複雑に変化する外力に対して,人間の中枢神経系はどのように腕運動を制御しているのであろうか.生物の運動制御系は,外部環境を内部に表象し(内部モデルと呼ばれる),そこで得られる情報を予測的に用いて運動指令を生成していると考えられている.本年度は,腕に加わる外力パターンを複雑化させた際に,環境の内部モデル学習が不完全となり,内部モデルの不完全性を補完する目的でインピーダンス制御が使用されることを実験的に示した.そして,この際の中枢神経系の運動制御スキームについて考察した. 我々は外界の脳内表象(内部モデル)に基づいて環境を認知するとともに適切な運動を生成することができる.この内部モデルは生後の知覚運動経験により獲得されるが,その獲得過程は,経験の順序や学習者の内部状態(意識レベル,情動,性格)の文脈に大きく影響されることが知られている.我々はこの現象の説明として,ランダム提示条件では同じ課題が連続する期待値が二回となり,直前の試行結果を参考にした運動学習の機会が与えられることによって学習効果が向上するという仮説を立て,相反する運動課題(90度回転/-90度回転マウス)を同時学習させる状況において,二回ごと交互に学習するという条件を追加して,先の2条件との比較を行った.その結果,同じ環境を連続して経験する機会を与えることは,同時学習に寄与すること,及びランダムに経験することが交互に経験することと比べ依然として学習効果が高いことを明らかにした.
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