2008 Fiscal Year Annual Research Report
感覚・運動連関の実時間拘束ダイナミクスの構成論的理解
Project/Area Number |
17075006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30023310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷古 学 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30447560)
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Keywords | 内部モデル / 拘束条件 / 文脈情報 / 到達運動 / 運動学習 / 運動制御系 |
Research Abstract |
対象物操作や道具操作など, 外力が加わる環境下で腕運動を行う際には, 人間の中枢神経系は, 内部モデルによる制御と腕インピーダンスによる制御をフィードフォワード的に協調させる必要がある. 近年, 生体運動制御・計算論的神経科学の分野では, 到達運動中の人間の手先に負荷を加える実験によって, 外部負荷に対する腕運動の適応プロセスが詳細に調べられてきた. しかしながら, 未だ, 上記2つの制御戦略(内部モデル制御とインピーダンス制御)を協調させるメカニズムは明らかにされていない. 本年度は, 従来研究で用いられた2つの力場(速度依存力場Vと位置依存力場P)を足し合わせて合成力場V+Pを作り, この力場環境における人間の2点間到達運動学習を解析した.15名の被験者による実験を行った結果, 被験者は力場V+Pに関する正確な内部モデルを学習しておらず, 腕インピーダンスによる制御を主要な補償法として適応していることを確認した. 本実験より, 運動中に負荷の向きが逆転するような複雑な時間変化パターンの環境下では, 人間は, 内部モデル制御を用いる代わりに腕インピーダンスによる制御を使用するケースがあることがわかる. すなわち, 負荷の時間変化パターンの複雑さに応じて, 2つの制御戦略の協調の仕方が変化する. 今後は, 中枢神経系が両制御戦略を協調させる過程のシステムモデルを構築する予定である.
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