2009 Fiscal Year Annual Research Report
感覚・運動連関の実時間拘束ダイナミクスの構成論的理解
Project/Area Number |
17075006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30023310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷古 学 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30447560)
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Keywords | 内部モデル / 拘束条件 / 文脈情報 / 到達運動 / 運動学習 / 運動制御系 |
Research Abstract |
対象物操作や道具操作など,外力が加わる環境下で腕運動を行う際には,人間の中枢神経系は,内部モデルによる制御と腕インピーダンスによる制御をフィードフォワード的に協調させる必要がある.本年度は,上記2つの制御戦略(内部モデル制御とインピーダンス制御)を協調させるメカニズムは明らかにするため,2つの力場(速度依存力場と位置依存力場)を足し合わせて合成力場を作り,この力場環境における人間の二点間到達運動学習を解析した.また,さらに,実験結果を,最適レギュレータを用いた腕の運動制御モデルの観点から理論的に検証した. 学生複数名を被験者とし,右腕による水平面内の二点間到達運動(右腕をある開始点から目標点に向かって素早く動かす運動運動距離は0.125m,目標運動時間は300±50ms.)を実験課題とした.実験装置として二次元マニピュランダムを用いた.被験者は2種類の力場環境で到達運動を学習した.1つは,被験者の手先速度に比例した負荷が腕に加わる速度依存力場であり,もう1つは被験者の手先速度と位置に比例した負荷が腕に加わる合成力場である.合成力場では速度依存力場に比べて,キャッチトライアルでの手先軌道の湾曲が少なく,筋が同時活性していることがわかる.これは,被験者が,あらかじめ負荷の向きを予測して,フィードフォワード的に負荷に対抗する力を生成する制御戦略(内部モデル制御)をとっているのではなく,腕のインピーダンスを高めること(インピーダンス制御)で負荷を補償していることを示している.すなわち,被験者は力場の複雑さに応じて,2つの制御戦略の協調を適応的に調節していることが実験より明らかとなった.
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