2008 Fiscal Year Annual Research Report
基底核-脳幹-脊髄系神経回路網と身体筋骨格構造の力学的秩序形成による歩行運動生成
Project/Area Number |
17075008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荻原 直道 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70324605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 和雄 同志社大学, 理工学部, 教授 (70227429)
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00227828)
杉本 靖博 神戸大学, 大学院・工学研究科, 非常勤講師 (70402972)
青井 伸也 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60432366)
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Keywords | 移動知 / 解剖学 / 生体力学 / 歩行神経制御系 / 知能ロボティクス |
Research Abstract |
昨年に引き続き、ニホンザルに見られる適応的歩行の運動学的・生体力学的分析と、身体筋骨格系・神経系・環境系の動的な相互作用により発現する歩行運動の順動力学シミュレーションの研究を推し進めた。ニホンザルの運動計測については、ハイスピードカメラと床反力計を埋め込み可能なトレッドミルによる二足歩行データの分析を行い、二足歩行中の後肢各関節の3次元角度変化を明らかにした。また歩行速度の増大とともに適応的に歩容を変化させていることが分かった,さらに歩行中の二酸化炭素排出量からニホンザル二足歩行の移動仕事率と速度の関係を推定した。一方シミュレーショシについては、2次元筋骨格モデルによるニホンザルの二足歩行生成を行い、歩容の仮想的改変が移動効率に与える影響を検討した。その結果、ニホンザルは速度変化に対応して移動仕事率を最小化するように適応的にその二足歩行のキネマティクスを変化させていること、ニホンザルにおいてもヒト的な重心移動のパターンが歩行効率の向上に実際に寄与していることなどが明らかとなった。また、動物の歩行は脊髄に内在する歩行運動のフィードフォワード的運動指令が姿勢制御などフィードバック系と協調的に動作することによって適応的かつ柔らかく実現されていると考え、歩行生成神経系の制御モデルを構築し、ヒト筋骨格モデルに実装して歩行の生成を試みた。その結果ヒトの実歩行とほぼ対応する運動を再現するととができ、さらに体幹節に作用する外力、体幹節質量の増加,床面の傾斜、といった歩行中の外乱や環境変動に対してある程度自律的に適応して歩行を持続できることを確認した。今後この歩行生成モデルをニホンザル筋骨格モデルに適用し、3次元歩行運動の動力学的再現を試みる。
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