2009 Fiscal Year Annual Research Report
移動知の力学的共通原理の発見と展開―人工物と生物の共通理解―
Project/Area Number |
17075010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大須賀 公一 Osaka University, 工学研究科, 教授 (50191937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 心知 (財)京都高度技術研究所, 研究部, 主席研究員 (10262966)
足立 二郎 北海道大学, 理学研究院, 非常勤講師 (20374184)
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Keywords | 移動知 / 陰的制御 / 陽的制御 / 受動的ロコモーション |
Research Abstract |
本研究では移動知の共通原理を力学的に探求することを目的としている.前年度までに当該グループではその共通原理に対するいくつかの作業仮説を設け検討してきた.今年度はそれらの仮説をより発展させた結果次のようなことがわかった. 1) 生物制御系は「不可分問題(制御対象,制御則,場を明確に区別できない)」と名付けられる問題が本質的に重要な側面をもっており,これを何等かの形で解決しなくてはならない. 2) 「不可分問題」を合理的に考察するために「埋め込み問題」を定義した. 3) 「埋め込み問題」への一つの解答として「陰的制御則」の存在を仮説した.これは,制御対象と場の間に新しい要素を想定することで両者の重なりを表現しようとするものである.最も特徴的な性質は「陰的制御」は制御対象と場の相互作用によって生まれるもので,両者の相互作用が消えると同時に消え去る存在だということである. 4) 「陰的制御」の一般解はすぐには求められないので,まずは特解を求めることにし,マニピュレータの姿勢制御問題、受動的ロコモーション問題,移動ロボット問題などにおける陰的制御の存在性について検討し,一部具体的な表現がもとめられた. 5) 陰的制御と考えることによって,それと対比的な存在として「陽的制御」が定義され,本研究の一つの大きな結論として「移動知は陰的制御と陽的制御の両者から成立する」という仮説を提案した.
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