2006 Fiscal Year Annual Research Report
力学的刺激に対する細胞の感知・応答の分子機構と組織構築技術への応用
Project/Area Number |
17076002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00323618)
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Keywords | 血管内非細胞 / 流れずり応力 / 胚性幹細胞 / 血管内皮増殖因子 / 細胞分化 / 血管平滑筋細胞 / 力学刺激 / 人工血管 |
Research Abstract |
本年度は内皮細胞における剪断応力の感知機構に重要な役割を果たしているATP作動性カチオンチャネルのP2X4プリノセプターの遺伝子を欠損させたマウスに現れる循環系の様々な異常について検討を行った。P2X4遺伝子欠損マウスから血管内皮細胞を培養し剪断応力を作用させると、正常マウスで見られる剪断応力依存性のカルシウム流入反応が起こらなかった。カルシウムの流入反応は血管拡張物質の一酸化窒素(NO)産生と関連するので、NOの蛍光指示薬であるDAF-2を使って画像解析したところ、P2X4遺伝子マウスでは剪断応力によるNO産生が起こらないことが判明した。尿中のNO産物の量がP2X4欠損マウスは正常マウスと比較して有意に減少し、逆に体血圧はP2X4欠損マウスが明らかに正常マウスよりも高値を示した。生体顕微鏡下で骨格筋の細動脈を観察したところ、正常マウスでは血流の増加に反応して血管拡張が起るが、P2X4欠損マウスではこの反応が著明に減弱していた。また、外頸部動脈を結紮して総径動脈の血流を減少させると、2週間で正常マウスでは総頸動脈の径の減少が生じたが、P2X4欠損マウスでは径の減少が見られなかった。以上の所見から、P2X4は血流に起因する剪断応力の情報を細胞内カルシウム濃度変化に変換し、情報伝達することで細胞応答を起こすこと、また、この情報伝達は血圧などの血管のトーヌスの調節や急性的な血流増加が惹起する血管拡張反応や長期的な血流変化に伴う血管のリモデリングに重要な役割を果たしていることが示された。
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Research Products
(7 results)