2009 Fiscal Year Annual Research Report
力学的刺激に対する細胞の感知・応答の分子機構と組織構築技術への応用
Project/Area Number |
17076002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 Dokkyo Medical University, 医学部, 特任教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00323618)
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Keywords | 血管 / 剪断応力 / 伸展張力 / ES細胞 / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
生体の全ての臓器・組織に分化する能力を有する胚性幹細胞(ES細胞)は再生医療に用いる細胞の供給源として期待されている。しかし、ES細胞を特定の組織の細胞へ分化誘導する技術はまだ開発段階にある。我々はES細胞の分化を誘導する方法に力学的刺激を応用する研究を行ってきた。その結果、血流に起因する勇断応力はマウスES細胞由来の増殖因子受容体発現細胞(VEGFR陽性細胞)を血管内皮細胞へ、一方、血圧に基づく伸展張力はVEGFR陽性細胞を血管平滑筋細胞へ分化誘導することを明らかした。平成21年度は勇断応力が血管の動静脈分化に影響を及ぼすか否かについて検討を加えた。VEGFR陽性細胞に流れ負荷装置内で勇断応力を作用させると、その強さ依存性に動脈のマーカー蛋白であるephrinB2の発現が増加した。ephrinB2のmRNAレベルも増加を示したが、他方、静脈のマーカーであるEphB4mRNAのレベルは低下した。このことから勇断応力はVEGFR陽性細胞を動脈内皮細胞へ分化誘導することが示された。この剪断応力の効果にNotchシグナルが関与することが判明した。すなわち、勇断応力は細胞膜に発現するNotchリガンドを活性化し、それがNotch受容体に結合することで受容体分子が切断され、その細胞内ドメインが細胞の核に移動して特定の転写因子を活性化することでephrinB2遺伝子の発現を増加させることが分かった。また、勇断応力は骨髄由来の内皮前駆細胞を動脈内皮に分化誘導する効果のあることも判明した。
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