2008 Fiscal Year Annual Research Report
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17076007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
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Keywords | リポソーム / 人工細胞モデル / その場観察 / DNA折り畳み転移 / 自己組織化 / ナノ構造制御 / ミクロ液滴 / レーザーピンセット |
Research Abstract |
本特定領域研究では、非平衡開放条件の下、自発的に時間発展するモデル人工細胞系の構築を最大の目的としている。そのために、試験管内における細胞機能複合体の再構築、およびそのイメージング・ハンドリング・物理化学的測定を可能にする系の確立などの基盤的研究も並行させて行う。具体的には,ナノからセンチメータ・スケールの階層的操作技術を活用して「試験管内における染色体再構成」、「DNA高次構造変化に伴う転写・翻訳活性の制御」、「モデル細胞系内部での核酸及びタンパク質のダイナミクス」の研究を進めている。 前年度に我々は人工モデル細胞系の構築に有用な油中水滴同士を、レーザーピンセットを用いて融合させるマニピュレーション手法を確立し、レーザーピンセットの有用性を実証してきた。本年度はその成果をさらに進展させ、レーザーピンセットを用いてゲノムDNAをトラップして観察する手法を確立した。さらにその手法により生物学的に重要な事象をも明らかにすることができた。 具体的には (1) レーザーピンセットを用いてゲノムDNAをトラップし、ゲノムを溶液中で搬送することにより、その高次構造を変化させることによって、より詳細な情報を得られることができた。 (2) 上記(1)の成果を用いてlog phaseとstationary phaseにおけるE. coli由来のゲノムDNAの高次構造を調べたところ、その高次構造が劇的に変化することが明らかとなった。このことはE. coliの増殖のリズムとDNAの高次構造の関係性を初めて示した重要な結果である。 その他、油中水滴を覆うリン脂質膜のキャラクタリゼーションや、3種混合リン脂質球がその表面にLogistic成長を示しながら周期性構造を形成する等、新たな知見が得られている。
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