2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17076007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
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Keywords | リポソーム / 人工細胞モデル / その場観察 / DNA折り畳み転移 / 自己組織化 / ナノ構造制御 / ミクロ液的 / レーザーピンセット |
Research Abstract |
本特定領域研究の最大の研究目的は、非平衡開放条件下、自律的に時間発展する人工モデル細胞系の構築をすることにある。そのために試験管内、及び細胞サイズ膜空間内での機能性複合体の再構築と、そのイメージングやハンドリング技術、物理化学的測定を可能にする系の開発を行ってきた。具体的には、ナノからセンチメートルスケールの階層的操作技術を活用して「試験管内における染色体再構成」、「DNA高次構造変化に伴う転写・翻訳活性の制御」、「モデル細胞系内部でのDNA及びタンパク質のダイナミクス」の研究を実施してきた。特に、最終年度である本年度は、これまでに蓄積した研究成果のより詳細な物理化学的検証として、(1)ヌクレオソーム再構成におけるDNA構造の影響、及び(2)人工モデル細胞系における膜分子のダイナミクス、についての検討を行った。 (1) 線状DNAと環状DNAを用いて試験管内ヌクレオソーム再構成を行い、その構造をナノメートルスケールでの観察技術であるAFMを用いて行った。結果、環状DNAでは線状DNAよりヌクレオソームをより効率的に生成することが明らかとなった。このことは、細胞内でもゲノムDNAのトポロジー的性質がヌクレオソーム形成に何らかの優位な影響を与えている事を示唆していると考えられる。 (2) モデル細胞内外液の粘性差が膜面上の易動度に与える影響についての検討をマイクロメートルスケールでの物理化学的測定技術であるFRAPを用いて実施した。結果、内外液の粘度が一致するときに膜面内の拡散係数が数倍大きくなることを見出した。3次元空間に埋め込まれた2次元膜の特質であると考えられ、このことは細胞の動的機能とも深く関わっている可能性があり、学問的に重要な発見であるといえる。
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Research Products
(22 results)