2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17078002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西澤 直子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70156066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 美智子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (90345182)
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Keywords | ミネラル栄養 / 金属錯体トランスポーター / ニコチアナミン / ムギネ酸 / 環境耐性作物 |
Research Abstract |
「鉄・デオキシムギネ酸」トランスポーターの候補遺伝子がイネのゲノム上に18個存在することを見出し、これらをOsYSL1〜OsYSL18と命名した。これらの遺伝子の発現パターンを解析した結果、OsYSL15遺伝子が根の表層で発現しており、この発現が鉄欠乏で強く誘導されることを確認した。アフリカツメガエルの卵母細胞と酵母を用いた実験により、OsYSL15タンパク質が「鉄・デオキシムギネ酸」を輸送するトランスポーターであることを証明した。以上のことから、OsYSL15がイネの土壌からの「鉄・デオキシムギネ酸」吸収を担う遺伝子であると考えられる。 さらに、OsYSL15遺伝子は根だけでなく、鉄の体内移行に重要な維管束細胞や、花・種子などにおいても発現してした。「鉄・デオキシムギネ酸」の輸送が土壌からの鉄吸収だけではなく、イネ体内での鉄の移行や種子への集積にも重要な役割を果たすことが考えられた。実際に、この遺伝子の発現を抑制したイネは、発芽した後に伸びることができなかった。 我々は、これまでに植物の鉄栄養に関わる遺伝子を利用して、アルカリ土壌耐性の作物を作出することに既に成功している。OsYSL15遺伝子を利用することにより、さらに望ましい形質を持ったアルカリ土壌耐性の作物を作り出すことができると考えてる。また、OsYSL15遺伝子や、これまでに我々が発見してきた鉄栄養に関わる他の遺伝子を組み合わせることにより、鉄分が豊富な高い栄養価の食品を作ることにも大きく貢献できると考えている。
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Research Products
(31 results)