2008 Fiscal Year Annual Research Report
浸透圧ストレス応答性トランスポーター遺伝子の発現機構と機能解析
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17078003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠崎 和子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30221295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刑部 祐里子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (50444071)
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Keywords | 浸透圧ストレス / 単糖トランスポーター / ジロイシン配列 / グルコース |
Research Abstract |
シロイヌナズナのマイクロアレイ解析により、浸透圧ストレス応答性単糖トランスポーター遺伝子ERD6Aおよび相同性遺伝子ERD6Bの発現様式を解析した結果、ERD6AとERD6Bは浸透圧ストレスにより発現様式が異なり、高塩処理下ではERD6Aはストレス後期に発現量が減少し、BRD68はストレス後期に発現量が増加することが示された。さらに、浸透圧ストレスに重要な植物ホルモンであるアブシジン酸によりERD6A発現量は減少し、ERD6B発現量は増加することが明らかになった。ERD6AおよびERD6BのプロモーターにGUSまたはGFP遺伝子を連結し、根における発現の組織特異性を解析した結果、ERD6Aは表皮および皮層、ERD6Bでは内鞘および木部柔細胞において発現することが示された。GFPを用いた一過的発現系による細胞内局在性解析の結果、ERD6Aは細胞膜、ERD6Bは液胞膜に局在することが明らかになった。ERD6遺伝子ファミリーの多くの遺伝子はN末端にロイシンが二つ並んだジロイシン配列を有しており、ジロイシン配列はほ乳類や酵母において膜輸送におけるソーティングシグナルであることが示されている。ERD6BのN末端ジロイシン配列をアラニンに置換したところ、細胞内局在が細胞膜に変化し、アラニンスキャニング法による解析からLxxxLLモチーフがERD6Bの液胞膜局在に必要であることが明らかとなった。ERD6Aはこのモチーフの変異により細胞膜局在性であることが示唆された。さらにERD6AとERD6Bを発現するタバコBY-2細胞を作出し単糖輸送活性の測定を行った。野生型ERD6Bは液胞膜局在であることから活性は検出できなかったが、ジロイシン配列をアラニンに置換した細胞膜局在性変異型Em6Bは単糖輸送活性が測定された。ERD6Aおよび変異型ERD6Bは共にグルコースに基質特異性が高く、グルコース輸送におけるKm値はそれぞれ309mM、102mMを示した。以上の結果からERD6AおよびERD6Bは低親和性の単糖トランスポーターであるが、発現様式および組織局在性や細胞内局在が異なり、浸透圧ストレス下の糖輸送を機能分担して植物のストレス適応に役割を持つことが示唆された。
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Research Products
(12 results)