2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム活性化型有機酸トランスポーターの分子機構
Project/Area Number |
17078007
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 孝行 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60362985)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
|
Keywords | アルミニウム / リンゴ酸トランスポーター / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.ALMT1蛋白質の機能解析 アルミニウム活性化型リンゴ酸トランスポーターALMT1の蛋白質機能領域の解明を目的として、コムギALMT1と相同性を示す他植物の相同遺伝子を単離して配列と機能の比較解析を行っている。本年度は、リンゴ酸とクエン酸を放出することで高いアルミニウム耐性を示すライムギからALMT1の相同遺伝子を単離した。ライムギには約40箇所で一塩基多型を示す5つのALMT1相同遺伝子の存在が明らかとなった。これらは通常は構成的発現を示すが、根のアルミニウム処理により発現量が上昇する誘導的発現を示した。この遺伝子発現様式は、有機酸放出様式と類似することから、ライムギ相同遺伝子も有機酸放出能を持つことが示唆された。さらに、発現している遺伝子型が個体ごとに異なっていたことから、ライムギの自家不和合性により集団中に様々な遺伝子型が生じたと推測された。今後、遺伝子型の違いと有機酸放出能に関係があるかを明らかにし、さらにコムギALMT1と比較解析を行う。 2.ALMT1上流配列の解析 コムギ系統間で見られるアルミニウム耐性度の違いは、主にALMT1遺伝子の高発現に起因すると考えられた。そこで、ALMT1遺伝子の上流域配列をクローニングし、アルミニウム耐性度の異なる系統間で比較解析を行った。代表的なアルミニウム耐性の2系統では280bp配列が3繰り返しになっており、感受性の2系統ではその領域は1つであった。また、中間の耐性をもつ1品種ではこの280bp領域を含む803bp配列が2つ繰り返しになっていた。従って、この繰り返し配列がALMT1遺伝子の高発現に関与することが強く示唆された。現在、さらに多数のコムギ系統でアルミニウム耐性度と繰り返し配列の関係を解析している。また、レポーター遺伝子の実験系を用いて上流配列の発現制御領域を特定する予定である。
|