2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム活性化型有機酸トランスポーターの分子機構
Project/Area Number |
17078007
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 孝行 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60362985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
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Keywords | アルミニウム / リンゴ酸トランスポーター / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.ALMT1蛋白質の機能解析 アルミニウム(Al)活性化型リンゴ酸トランスポーター、ALMT1の蛋白質機能領域の解明を目的として昨年、リンゴ酸とクエン酸を放出し高いAl耐性を示すライムギからALMT1の相同遺伝子を単離し、一塩基多型を示す5つのALMT1相同遺伝子の存在を明らかとした。本年度は、ライムギALMT1の3つの遺伝子型をタバコ培養細胞に形質転換し、それぞれの有機酸放出を調べた。各遺伝子型ともAlで活性化されるリンゴ酸の放出は見られたが、クエン酸の放出は検出できなかった。この結果は、ライムギのALMT1は遺伝子型にかかわらずリンゴ酸を放出すること、また、クエン酸の放出は別の他の染色体に座上するAl耐性遺伝子のトランスポーターが関与する可能性を示す。さらに我々は、日米豪の共同研究によりシロイヌナズナの相同遺伝子AtALMT1が、やはりAlで活性化されるリンゴ酸輸送体であることを明らかにした(Hoekenga et al.2006)。今後、これらALMT1相同遺伝子のアミノ酸保存領域の改変を行い、ALMT1タンパク質の機能領域を明らかにする予定である。 2.ALMT1上流配列の解析 コムギ系統間で見られるAl耐性度の違いは、ALMT1遺伝子の上流域配列の繰返しに起因すると考えられた。本年度は、69系統のコムギを用いてAl耐性度と繰り返し配列の関係を解析した。日本以外の育種系統には、6種のパターンの異なるALMT1上流配列が存在し、その繰り返しの回数がAl耐性度ならびに遺伝子発現量と正の相関を示した。従って、この繰り返し配列が、ALMT1遺伝子の高発現に関与することが強く示唆された。一方で、日本の育種系統では2種類の上流配列のみが見られ、発現量やAl耐性との相関は低かった。しかし、Alで活性化されるリンゴ酸放出量と、Al耐性度とは正の相関を示したことから、日本のコムギ系統においてもリンゴ酸放出量がAl耐性の第一要因であると考えられる。そして、日本の系統ではALMT1遺伝子の発現量以外に、転写後の制御が関与する事が示唆された。
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Research Products
(6 results)