2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞情報ネットワークに介在するアティピカルG蛋白質群の生理機能の解析
Project/Area Number |
17079002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30302615)
福山 征光 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20422389)
梶保 博昭 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (70401221)
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Keywords | シグナル伝達 / 蛋白質 / 遺伝子 / ゲノムプロジェクト / G蛋白質 / Gサイクル |
Research Abstract |
G蛋白質は、細胞内のシグナル伝達系において、重要な"分子スイッチ"として機能し、現在までに大別して三量体型、Rasなどの低分子量型、さらに翻訳因子群が同定されている。これまでの研究から前述のG蛋白質群が、受容体から細胞内へのシグナル伝達器として、あるいは細胞の分化・増殖、小胞輸送、形態形成や翻訳の制御因子として多彩な細胞機能に介在することが明らかにされてきた。しかしながら、近年のゲノムプロジェクトの成果により、機能未知のG蛋白質が数多く存在することが明らかとなった。本特定領域では、新奇G蛋白質を単離・同定しその機能解析を行い、新しいG蛋白質シグナル伝達系の解明、さらにはG蛋白質の新しい作動原理の解明に貢献することを目的とした研究を行っている。当該年度においては、我々が独自に同定したアティピカルな新奇低分子量G蛋白質によって制御される細胞応答に関する解析を進め、以下の知見を得た。 1.Arf/Arlファミリーに分類されるArl8は、多細胞生物間で極めて保存性が高く、広範囲な組織で発現する低分子量G蛋白質である。まず、線虫Arl8欠失変異体を用いた解析から、Arl8はリソソームの形成や機能に必須の役割を果たすことが明らかにされた。さらに哺乳動物細胞におけるArl8ノックダウン実験により、Ar-8がリソソーム酵素の正常な細胞内輸送に関与することを見出した。また、Arl8a及びArl8bのノックアウトマウスの作成を進め、ヘテロマウスの作出に成功した。2.Arl13は、N末端側のArfドメインに加えて、C末端側にPr。-rich配列を有するアティピカルなArf/Arlファミリー蛋白質である。線虫Arl13欠失変異体の表現型解析及び培養細胞におけるノックダウン実験により、Arl13bが繊毛の形成・維持に重要な役割を果たすことを見出した。3.Rab45は、C末端側のRab-GTPaseドメインに加えて、N末端側にEFhandとcoiled-coil領域を有する、特徴的な一次構造のG蛋白質である。Rab45はそのcoiied-coil領域を介して多量化し、リサイクリングエンドソームの核近傍への集積化を制御するG蛋白質である可能性を見出した。4.Di-Ras2は神経細胞に特異的に発現する低分子量G蛋白質であり、マウス脳組織染色により、大脳及び小脳の広範囲な領域に発現することを明らかにした。また興味深いことに、胎生期の脳ではDi-Ras2蛋白質は殆ど検出されないが、生後脳の発達時期と共に発現量が非常に上昇することを見出した。Di-Rasノックアウトマウスに関しては、Di-Ras1のキメラマウスを作出することができた。
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