2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質間のコミュニケーションを介する神経回路形成の機構解析
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17079003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
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Keywords | Plcxin / semaphorin / Rho / 軸索ガイダンス / 成長円錐 / 神経回路 / 神経突起 / R-Ras |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到着し、複雑な神経回路を形成する。セマフォリンはその特異的な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすことが知られている。我々は、これまでにSema4Dの受容体、Plexin-B1の細胞内領域がR-Rasに対するGAPを直接コードし、R-Rasの活性を抑制することにより、R-Rasによるインテグリンの活性化を抑制することにより、成長円錐の消失を引き起こすことを明らかにしてきた。軸索の反発退縮作用には、微小管の脱重合が必要であることがわかっている。そこで、我々は、まず、Sema4D-Plexin-B1によるR-Ras GAP活性の下流でどのようなシグナル伝達機構で微小管の脱重合の制御がなされているのかを解析した。神経軸索内での微小管の重合促進作用を有するCRMP-2はGSK3によりリン酸化され、その微小管重合促進作用は抑制される。GSK3は常時活性型のリン酸化酵素であり、Aktによりリン酸化されてその活性が抑制される。我々は、Sema4D-Plexin-B1によるR-Ras GAP活性が、R-Rasの活性を抑制し、R-RasによるPI3Kの活性化の抑制、Aktの活性を抑制し、GSK3を活性化してCRMFL2のリン酸化を促進し、CRMP-2による微小管重合の促進作用を阻害することにより軸索の反発作用を発揮していることを明らかにした。さらに、R-Ras GAP活性はPlexin-B1を含む全てのPlexinに共通の分子機構であると推定され、Sema3A-Plexin-Alにおいても同様にR-Ras GAP活性によりAktの活性抑制、GSK3の活性化が引き起こされることを明らかにした。
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