2007 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質間のコミュニケーションを介する神経回路形成の機構解析
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17079003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
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Keywords | 神経軸索 / 樹状突起 / R-Ras / M-Ras / Semaphorin / Plexin / GAP / Rnd1 |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到着し、複雑な神経回路を形成する。セマフォリンはその特異的な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすことが知られている。我々は、これまでにSema4Dの受容体、Plexin-B1の細胞内領域がR-Rasに対するGAPを直接コードし、R-Rasの活性を抑制することにより、R-Rasによるインテグリンの活性化を抑制することにより、成長円錐の消失を引き起こすことを明らかにしてきた。また、R-Ras GAP活性の下流で、Aktの活性抑制、GSK3bの活性化を介したCRMP-2のリン酸化による、CRMP-2の微小管重合促進作用の阻害による成長円錐の消失を引き起こすことを明らかにしてきた。R-RasはRasファミリーの一員であるが、R-Rasサブファミリーには他にM-Ras (R-Ras3)やTC21 (R-Ras2)がある。そこで、Plexin-B1の細胞内領域にコードされているGAPがR-Ras以外にM-Rasに対し、GAP活性を示すか検討した。その結果、Plexin-B1はM-Rasに対してもGAP活性を示し、Sema4DはPlexin-B1とRnd1との複合体に結合し、M-Rasの活性を低下させることがわかった。また、Sema4Dは海馬培養神経細胞の樹状突起の伸長及び、分枝化を抑制し、この作用にM-Rasに対するGAP活性を介する経路が関与する可能性を示唆した。このように、Sema4D/Plexin-B1は、神経軸索と樹状突起の形成を異なる経路で調節している可能性が示唆された。
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