2008 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質間のコミュニケーションを介する神経回路形成の機構解析
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17079003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Keywords | semaphorin / plexin / R-Ras / M-Ras / 樹状突起 / 神経軸索 / 神経細胞 / GAP |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は、様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到着し、複雑な神経回路を形成する。一方、神経細胞は、複数の樹状突起を伸長し、軸索と接着することにより、シナプスを形成する。セマフォリンはその特異な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすことが知られている。我々は、これまでに、Sema4Dの受容体、Plexin-B1がR-RasのGAPを直接コードしており、R-Rasの活性を抑制することにより、軸索の反発作用を引き起こすことを明らかにしてきた。R-Rasは、Rasファミリーの中で、M-Ras、TC21と共にR-Rasサブファミリーを形成している。そこで、他のR-Rasメンバーに対するPlexin-B1のGAP活性を調べた結果、Plexin-B1は、TC21に対してはGAP活性を示さなかったが、M-Rasに対しては強いGAP活性を示した。そこで、M-Rasの神経細胞の形態における役割を解析した。初代培養大脳皮質細胞において、M-Rasは樹状突起形成期以降に強く発現し、M-RasをshRNAでノックダウンすると、樹状突起伸長が抑制され、M-Ras-QLを発現させると、樹状突起が伸長した。また、Sema4D/Plexin-B1はM-Ras活性を抑制し、樹状突起の伸長を抑制した。これらのことから、Sema4D/Plexin-B1は、2つの異なるR-RasサブファミリーのGタンパク質の活性を調節し、R-Ras GAPにより、軸索を、M-Ras GAPにより樹状突起の調節を行っていることがわかった。
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