2009 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質間のコミュニケーションを介する神経回路形成の機構解析
Project/Area Number |
17079003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Keywords | R-Ras / Myo-7 / インテグリン / FERM / モーター / ミオシン / 低分子量G蛋白 / 細胞運動 |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は、様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到達し、複雑な神経回路を形成する。セマフォリンはその特異的な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすことが知られている。我々は、これまでに、セマフォリンの受容体、PlexinがR-RasのGAPを直接コードしており、R-Rasの活性を抑制することにより、軸索の反発作用を引き起こすことを明らかにしてきた。R-Rasはインテグリンを活性化して軸索を伸展させ、Plexinは、R-Rasによるインテグリンの活性化を抑制することにより、軸索の反発を引き起こす。しかし、R-Rasがどのような機構でインテグリンを活性化するのか全く不明であった。R-Rasのインテグリン活性化機構を明らかにするため、活性型R-Rasに結合する分子をスクリーニングした結果、ミオシンファミリーの1つ、Myo-7に活性型R-Rasが特異的に結合することがわかった。Myo-7は2つのFERMドメインを持ち、活性型R-Rasは1st-FERMドメインに結合し、Myo-7のモーター活性を促進した。また、Myo-7の2nd-FERMドメインにはインテグリンが結合し、活性型R-Ras-Myo-7-インテグリンの3者複合体を形成し、R-Rasはインテグリンを細胞先導端に運搬し、インテグリンを活性化することがわかった。このように、R-Rasは全く新しい分子機構でインテグリンを活性化することがわかった。
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