2006 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質シグナルによる細胞構造改変プロセスの単分子イメージング解析
Project/Area Number |
17079004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80303816)
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Keywords | 細胞・組織 / 一分子計測 / 生体分子 / 恒常性 / G蛋白質 / mDia / 細胞シグナル / フォルミンファミリー |
Research Abstract |
以前のわれわれの研究で,Formin蛋白質の1つ,mDia1が生細胞内のアクチン重合端に結合し,線維伸長に従い分子移動することを発見した(Science 303:2007-10,2004).この分子移動は,mDialの活性中心であるFH1-FH2領域の部分変異体では恒常的に観察されるものの,野生型mDia1の分子観察では頻度は稀であった. 本研究では,野生型mDia1が高頻度に分子移動する条件を検索した.予想外にも,Latrunculin BやSwinholide Aといった単量体アクチン阻害剤が低濃度で迅速(10秒以内)にmDia1を活性化,分子移動を惹起することを見出した.重合不能のアクチン変異体の発現でも同様のmDia1活性化が惹起されることから,Gアクチン濃度の上昇がmDia1によるアクチン重合-伸長を誘発することが確認された.mDia1の活性化にはRhoの活性は必要とするものの,FH2領域だけの部分変異体でも活性化が観察された.また,アクチン脱重合因子コフィリンやその結合タンパク質AIP1が集中する部位,すなわち脱重合からアクチン単量体が多量に放出される部位に一致して,mDia1FH2によるアクチン核化頻度上昇を確認した.本発見は,単量体アクチンが上昇すると,mDia1のFH2領域が感知し,高効率にアクチン重合核形成を引き起こすことを示唆する.mDia1はアクチン伸長速度を5-15倍加速し,細胞内で毎秒2マイクロンでアクチンを伸長させるユニークな性質を持つ.真核細胞は直径が10〜数十ミクロンに達するため,崩壊したアクチンを急速に回復させる仕組みが要求されるが,今回われわれが見出したmDia1を介した急性アクチン重合機構はそのような状況に働く分子機構である可能性がある(投稿中). また,平行してRacやCdc42の下流で細胞辺縁のアクチン重合に働くAIP2/3複合体とアクチン重合阻止分子キャッピングプロテインの分子動態から,「高頻度アクチン線維切断・再結合」が線維の崩壊過程に働いている可能性を見出した(J. Cell Biol.,2006).
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[Journal Article] Actin turnover-dependent fast dissociation of capping protein in the dendritic nucleation actin network : evidence of frequent filament severing.2006
Author(s)
Miyoshi, T., Tsuji, T., Higashida, C., Hertzog, M., Fujita, A., Narumiya, S., Scita, G., Watanabe, N.
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Journal Title
Journal of Cell Biology 175
Pages: 947-955
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