2006 Fiscal Year Annual Research Report
RGS蛋白質によるG蛋白質シグナルの生理的制御機構の解明
Project/Area Number |
17079005
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲野辺 厚 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00270851)
村上 慎吾 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40437314)
|
Keywords | RGS蛋白質 / G蛋白質 / 心臓生理 / 脂質代謝 / カリウムチャネル / 脂質ラフト |
Research Abstract |
RGS(Regulators of G protein signaling)蛋白質は三量体G蛋白質αサブユニットの内因性GTP加水分解活性を促進し、G蛋白質サイクルを調節する因子である。本研究ではRGS蛋白質の作用様式・その調節因子を詳細かつ統合的に明らかにし、RGS蛋白質によるG蛋白質シグナルの生理的調節機構を解明することを目指している。以前までに、リン脂質PI(3,4,5)P_3がRGS蛋白質の機能を抑制し、Ca^<2+>/CaMが拮抗的に結合することによって、この機能抑制を脱抑制することを示してきた。さらに昨年度は脂質2重膜上のマイクロドメインである脂質ラフトとRGS蛋白質の相互作用が、RGS蛋白質のG蛋白質制御に重要であることを示してきた。 本年度はRGS蛋白質の生理機能の解明として、神経様に分化させたNG108-15細胞を用いて、オピエイト受容体によるP/Q型カルシウムチャネルの抑制機構とラフトとの関係を検討した。本細胞において、受容体、チャネルは共に非ラフト画分に、G蛋白質はラフト、非ラフト画分に存在していた。受容体刺激はラフト画分に存在するG蛋白質量を減少させた。受容体刺激はチャネル活性を抑制する。そのため、受容体刺激がG蛋白質のラフト、非ラフト画分間の分布を動的に変化させ、チャネル活性を調節していることが判った。 一方、G蛋白質で開閉が調節される内向き整流性カリウム(Kir)チャネルKir3.2の細胞質領域の立体構造をX線結晶構造解析によって明らかにした。他のKirチャネルの構造と比較することによって、細胞膜に接する領域に構造的な多様性が見出された。この領域はチャネル機能に重要なアミノ酸を多数含み、膜貫通領域と相互作用しうる距離に位置している。そのため、この構造的多様性は細胞質領域によるチャネル機能調節機構を反映していることが推測された。現在RGS蛋白質とCa^<2+>/カルモジュリン複合体の結晶構造解析を試行中である。
|