2008 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質シグナルを制御する新規分子群の同定と情報ネットワークにおける役割の解析
Project/Area Number |
17079006
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
伊東 広 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90212232)
多胡 憲治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20306111)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 薬理学 / G蛋白質 |
Research Abstract |
G蛋白質は神経系、内分泌系、免疫系など多彩な生体システムにおいて分子スイッチとして働くGTP結合蛋白質である。本研究では、G蛋白質を介するシグナル構成成分と相互作用してG蛋白質シグナルを制御する新規分子群を同定して、その詳細な分子機構を明らかにすること、さらに新規分子群の動的制御機構,細胞・組織レベルでの生理的役割を解明し, 細胞内情報ネットワークの新たな構築を図ることを目的としている。本年度、以下の研究成果が得られた。(1)ダイオキシン受容体(AhR)と複合体を形成しAhRの活性化や安定性に寄与するAIPにG蛋白質αサブユニット((Gα13,Gαq)が結合することを見出し、さらにGα13のシグナルがAhRとAIPの相互作用を抑制し、AhRのユビキチン化を伴う分解を促進することを明らかにした。ダイオキシンシグナルに対してG蛋白質シグナルが抑制的に作用することが初めて明らかとなったが、逆にG蛋白質シグナルに対してダイオキシンが影響を与えないか検討を進めている。(2)先に大脳皮質形成異常の原因遺伝子となるオーファンG蛋白質共役受容体GPR56の細胞外ドメインに対する抗体を用いてGPR56がG12/13-Rhoの経路を介して神経前駆細胞の遊走を負に制御していることを見出したが、さらにGPR56高発現細胞と低発現細胞をFACSで分離し、それぞれの増殖能およびGPR56のノックダウンの効果を調べたところ、GPR56が神経幹細胞の増殖に関係していることが判明した。(3)Gq特異的な阻害剤YM-254890とGq蛋白質との複合体の結晶を作成し、X線結晶構造解析を行い複合体の立体構造を明らかにした。さらに変異体を用いた実験結果と合してYM-254890がこれまで知られているG蛋白質相互作用分子の結合サイトとは異なるまったく新しい部位に結合することによりG蛋白質活性化の初期反応であるGDPの遊離を阻害することが判明した。
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Research Products
(11 results)