2005 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質シグナルによるリン脂質代謝制御と細胞形態制御の分子メカニズム解析
Project/Area Number |
17079008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金保 安則 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00214437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横関 健昭 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80373405)
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Keywords | 脂質性シグナル分子産生酵素 / PIP5Kβ / ARF6 / 海馬神経細胞 / スパイン / シナプス / 低分子量G蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、低分子量G蛋白質のADPリボシル化因子(ARF)はリン脂質キナーゼのホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)の活性化因子として機能し、ARF→PIP5Kシグナル伝達系は細胞膜ダイナミクスの制御に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 興奮性シナプスの後部(樹状突起側)には、スパインと呼ばれる微小突起構造が存在し、スパインの数および形状はダイナミックに変化し、その変化は記憶・学習の細胞基盤であると提唱されている。上述のように、ARF6→PIP5Kシグナル伝達系が細胞膜ダイナミクスを制御していることから、このシグナル伝達系がスパイン形成を制御している可能性が推測され、この点についての解析を行った。 マウス海馬神経細胞に活性化型ARF6を発現させるとスパイン数は顕著に減少し、ドミナントネガティブARF6を発現させるとスパイン数は増大した。一方、class IのARF1やclass IIのARF5はスパイン数に影響しなかった。これらの結果から、ARF6は特異的に海馬神経細胞のスパイン形成を制御していることが明らかとなった。また、これまでに同定されている三種類のPIP5Kアイソザイム(α、β、γ)のうち、野生型PIP5Kβを海馬神経細胞に発現させるとスパイン数は顕著に減少し、活性欠失型変異体PIP5Kβはスパイン数を増大させた。これらの結果から、PIP5KβはARF6と同様に、スパインを退縮させることが明らかとなった。さらに、海馬神経細胞において活性型ARF6はPIP5Kβと結合することが明らかになった。 これらの結果から、ARF6→PIP5Kβシグナル伝達系はスパインの退縮制御に重要な役割を果たしていることが示唆される。
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Research Products
(7 results)