2009 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質シグナルによるリン脂質代謝制御と細胞形態制御の分子メカニズム解析
Project/Area Number |
17079008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金保 安則 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00214437)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / ARF6 / リン脂質キナーゼ / PIP5K / 血管形成 / 癌 / ノックアウトマウス / 抗ガン剤 |
Research Abstract |
本研究では、低分子量G蛋白質のARF6を介するシグナル伝達系の生理機能、特にARF6によるリン脂質代謝制御と細胞形態制御の分子メカニズムを解明するために、ARF6の生理的なターゲット蛋白質を探索・同定すること、およびARF6遺伝子コンディショナルノックアウト(C-KO)マウスの作製とその解析に基づいてARF6の生理機能を解明することを目的として解析を行い、以下の結果を得た。 申請者は以前に、ARF6がリン脂質キナーゼのホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)を活性化することを見いだしている。その活性化様式を解析した結果、PIP5Kの三種のアイソザイム、α、β、γ、のうち、PIP5Kβのみがin vitroで特異的に活性化されることを明らかにした。一方、PIP5Kγは、そのN末端領域がARF6の結合部位であるkinase core domainをマスクしてARF6による活性化を阻害していることを明らかにした。これらの結果から、生理的条件下では、PIP5KβはARF6 により直接活性化されるが、PIP5Kγは未知のパートナー蛋白質によりN末端領域のマスキングがはずれることによりARF6により活性化されることが想定される。現在、この点について解析中である。 血管内皮細胞特的なARF6遺伝子コンディショナルノックアウトマウスを作製し、その解析を行つたところ、血管形成に軽度な異常が認められた。また、このマウスにおいては、メラノーマを皮下移植した後に形成される固形癌での血管形成が顕著に阻害され、その結果、癌の増殖が抑制されることが明らかとなった。この結果から、ARF6は血管形成に重要な役割を果たしており、ARF6が抗ガン剤のターゲット分子となりうる可能性が示唆される。
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