2009 Fiscal Year Annual Research Report
染色体複製開始タンパク質の機能制御因子とその作動メカニズムの解析
Project/Area Number |
17080005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (70264059)
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Keywords | DNA複製 / DnaA / 複製開始 / タンパク質高次複合体 / DARS / 試験管内再構成系 / DiaA / ヘリカーゼ |
Research Abstract |
本研究計画では、大腸菌の複製開始タンパク質DnaAの機能制御メカニズムを解析した。大腸菌細胞内では、通常、不活性型のADP-DnaAが活性型のATP-DnaAより高濃度で存在する。複製開始前特異的にATP-DnaA濃度が上昇し、ADP-DnaA濃度を超える(過去に発表済み、EMBO J.,1999)。本研究で初めて、ゲノム上のDNA因子がDnaAのヌクレオチド交換を進め、ADP-DnaAをATP-DnaAに変換することが解明された(Genes Dev.,2009)。このDNA因子をDARSと命名した。DARS上では複数のDnaAが特異的な多量体を形成する。このときDnaAの構造が変化しヌクレオチド交換が進むと思われる。DARS制御因子の存在も明らかになった。 ATP-DnaA分子は複製起点上で多量体となり、複製開始複合体を形成する。この複合体には、新規因子DiaAが含まれる(Genes Dev.,2007)。本年度は、DnaA-DiaA相互作用機構およびDnaA-DnaBヘリカーゼ相互作用機構を詳細に解明し、複製開始複合体の構造と動態を説明する新たなモデルを提出した。さらに、DnaAからDiaAを解離させる新たな制御因子の存在も明らかになった(JBC,2009)。DiaA解離は、複製開始反応後のヘリカーゼ装着に必要と思われる。 複製開始後、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素によりDNA合成が進められる。この過程でDNA上に装着されたクランプ因子とHdaタンパク質により、DnaA-ATP加水分解が進められ、ADP-DnaA濃度が高まる。この制御系は過剰開始抑制に必須であり、過去にRIDAと命名した(Ce11,1998;EMBO J.,2001)。本研究では、Hda-Dna相互作用のメカニズムを詳細に解明した(Mol.Microbiol.,2010)。
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Research Products
(33 results)