2005 Fiscal Year Annual Research Report
複製複合体の形成制御機構とチェックポイント・細胞分裂への関与の解明
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17080008
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
荒木 弘之 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (20151160)
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Keywords | DNA複製 / チェックポイント / CDK / 細胞分裂 / 複製開始 |
Research Abstract |
真核生物の染色体DNA複製は、細胞分裂周期により厳密に制御されている。また、DNA複製と他の染色体ダイナミックスの関連が知られてきた。本研究では、複製の制御とそれに関わる因子の働きの解析から、複製開始制御とチェックポイント・細胞分裂との関連を明らかにしようとしている。本年度は、出芽酵母を用いた研究から以下の点を明かにした。 1.dpb11変異と合成致死になる新たなsld7 (synthetic lethality with dpb11-1)変異を分離した。SLD7遺伝子は増殖には必須では無かったが、sld7欠失変異はDNA合成阻害剤であるヒドロキシ尿素やDNAアルキル化剤であるMMSに感受性を示した。さらに、種々のDNA複製変異株がsld7欠失株と合成致死になるか調べたところ、DNAポリメラーゼε、GINS複合体、Sld2、Dpb11の変異と合成致死になることが分かった。この結果は、Sld7のDNA複製への関与を強く示唆するものである。一方、genome-wideの解析から、Sld7-GFPは核及びSPB (Spindle Pole Body)に局在することが報告されているので、Sld7は染色体の複製以外の働きもしているのではないかと考えている。 2.Sld2は細胞周期のメインエンジンであるサイクリン依存性キナーゼCDKによりリン酸化され、Dpb11と結合し、この複合体が複製開始には必須である。しかし、Sld2のリン酸化型変異を導入しても、CDK非依存的に複製を開始することはできない。これは、Sld2以外にもCDKのターゲットがあるためである。このターゲットを探すため、リン酸化型Sld2変異と同時に持つと成育しない変異を分離した。この両変異を持つ細胞は、CDK活性がない条件でもDNA複製を開始することができる。現在、この新たな変異を解析中である。
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Research Products
(1 results)