2009 Fiscal Year Annual Research Report
複製複合体の形成制御機構とチェックポイント・細胞分裂への関与の解明
Project/Area Number |
17080008
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
荒木 弘之 National Institute of Genetics, 細胞遺伝研究系, 教授 (20151160)
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Keywords | DNA複製 / チェックポイント / CDK / 細胞分裂 / 複製開始 |
Research Abstract |
染色体DNAの複製開始領域には複数のタンパク質が集合し、複製を開始する。この集合の過程は2つのステップに分けることができる。即ち、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)活性の低いM期後期からG1期に起こるpre-RC形成、G1/S境界域からCDKが活性化すると起こるDNAポリメラーゼを含む一連の複製因子の集合である。また、複製に関与するタンパク質が同時に、細胞周期チェックポイントや細胞分裂に関わることもある。CDKは、出芽酵母のSld2タンパク質とSld3タンパク質をリン酸化し、リン酸化されたこれらタンパク質はDpb11タンパク質に結合する。この結合がCDKによる複製開始活性化に必須でかつ最少限必要な過程である。Sld3のパートナーであるCdc45タンパク質の変異JET1は、Sld3のCDKによるリン酸化の必要性をバイパスすることができる。我々はさらにSld3はSld7と結合して機能していることを見いだしている。Sld7は増殖に必須ではないが、欠失株はヒドロキシ尿素に感受性であり、DNA複製の進行が遅れる。JET1変異はSld7欠失株のヒドロキシ尿素感受性をサプレスする。Sld7欠失株では、Sld3の量が低下しており、またCDKの活性化とともに複製開始領域に結合するGINSの結合が遅れていることが分かった。さらに、Sld3がCDKによりリン酸化されると結合するDpb11量の増加によってもSld7欠失株のヒドロキシ尿素感受性はサプレスされる。これらのことは、Sld7がSld3に結合することによりSld3の構造を変え、プロテアーゼに抵抗性にするとともに、Dpb11との結合も起こりやすくしていると考えることができる。またJET1変異では、Dpb11とSld3の結合が効率よく起こるようになっていると考えられる。
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Research Products
(24 results)