2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17080009
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
仁木 宏典 National Institute of Genetics, 系統生物研究センター, 教授 (70208122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 康博 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (00390625)
古谷 寛治 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (90455204)
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Keywords | 染色体 / 分配 / DNA結合 / 無核 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
4.6Mbの大腸菌染色体で、約2Mbの領域に渡る染色体の逆位変異の導入を行なって来た。このような大規模な逆位変異により、細胞で折り畳まれた染色体の構造が影響を受け、その結果、染色体分配そのものが正常に機能しなくなり、染色体を分配されなかった細胞、すなわち無核細胞が高頻度で出てくるようになる。では、この大規模な逆位変異が、染色体分配のどのような過程に影響を与えているのか、この点を明らかにするため研究を行った。最も無核細胞が高頻度で出てくる染色体の逆位変異株では、複製終結領域を含むTerドメインと呼ばれる染色体領域が逆位により二分割され、その一方がOriドメインと呼ばれる複製開始点を含む染色体領域に近接するようになる。Terドメインには、染色体複製後にこの複製終結領域を細胞中央部に移動させる機構が存在している。この移動機構は、FtsKというDNAトランスロケーターに依存する。FtsKはATPaseであり、ATPaseの不活性変異体はDNAを移動させることができない。このATPaseの不活性変異体を導入すると、逆位変異による無核細胞の出現は野生株程度まで抑制された。逆位変異株では、2カ所にTerドメインが分割されている。おそらく、そのそれぞれに対してFtsKのDNAトランスロケーター活性が機能し、染色体の異常な細胞内の移動と配置を引き起こし、最終的に染色体の分配を乱したと考えられる。FtsKによるDNAの移動は部位特異的な組換えの促進のためと考えられて来たが、Terドメインの細胞内局在にも重要であることがわかった。
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