2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17080009
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
仁木 宏典 National Institute of Genetics, 系統生物研究センター, 教授 (70208122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 康博 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (00390625)
古谷 寛治 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (90455204)
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Keywords | 染色体 / 分配 / DNA結合 / 無核 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
バクテリアでは、プラスミドにセントロメア様の機能配列によるDNA分配機構が存在し、DNA分配のモデルシステムとして研究されている。大腸菌の性決定因子Fプラスミドでは、セントロメア様の配列sopCにSopBタンバクが結合し、機能複合体を構成する。これの複合体の移動と分離により、プラスミド自体が娘細胞へと安定に分配される。この過程でsopC-SopB複合体は、細胞中央から速やかに細胞両極方向へ移動することが知られており、ATPアーゼのSopAタンパク質が、この移動の駆動力を生じているのではないかと考えられてきた。ではプラスミドの駆動力をSopAタンパク質が、どのように発生しているのか、本研究ではこの問題の解明を試みた。まず生きた大腸菌細胞の中でプラスミドDNAとSopAタンパク質を蛍光タンパク質で標識し、両者の動態を解析した。SopAタンパク質は細胞極近くを中心に重合し、そこから細胞全体に繊維状の構造体を伸ばしている。また、このSopAの重合中心は、細胞内の端から端へ周期的に移動する。この変動に伴ってプラスミドDNAも移動し、SopAタンパク質がプラスミドの移動の際の軌道として機能していることを強く示唆していた。P1プラスミドの分配機構についても、同様の研究を行い、プラスミドの駆動メカニズムの一般性を検証してみた。驚く事に、ATPアーゼParAけ繊維状の構造体を作らない。核様体の上に分布し、この上に重合中心見いだされた。P1プラスミドは、この重合中心に向かって移動し、この位置に局在するようになる。これら結果は、SopA、ParAタンパク質は、直接プラスミドを押し引きして分配移動させるというより、繊維状または核様体の上に重合中心を持った濃度勾配を作り、DNA分配の移動方向をガイドしていると考えられる。一方、バクテリアの染色体の移動において、移動の方向性を決める機構については謎が多い。大腸菌の染色体ではmigS配列による極性移動が見いだされている。この配列に相互作用する因子としてMigPを見いだした。MigPは、細胞極のみに分布する。また、電子伝達系の複合体Iを構成するNuoGもまた作用因子である。NuoGは膜タンパク質であることから、膜を介したDNAの移動機構が示唆され、さらに研究を進めている。
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