2005 Fiscal Year Annual Research Report
複製フォークと相同組換えの共役による遺伝子増幅制御の研究
Project/Area Number |
17080010
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
小林 武彦 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教授 (40270475)
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Keywords | 複製阻害 / ゲノムの安定性 / 遺伝子増幅 / 遺伝学 / 核酸 / コヒーシン / リボソームRNA遺伝子 / サイレンシング |
Research Abstract |
出芽酵母のFob1pは真核細胞で唯一複製フォークの進行を阻害するDNA結合タンパク質である。Fob1pはリボソームRNA遺伝子(rDNA)の転写終結点近くの複製阻害配列に結合し、rDNAのコピー数維持に必要な増幅組換えを誘導している。本研究ではFob1pの機能解析を中心に、増幅組み換えの誘導機構、並びにその組み換えによるチェックポイントコントロールを介した細胞老化等の細胞機能に与える影響について解析する。 本年度は複製阻害配列近傍に存在し、他の酵母でも保存されている双方向性Pol IIプロモーター(E-proと命名)の増幅組み換えにおける役割を中心に解析を行った。まずその転写活性が増幅組み換え活性に必要か否かを、他の誘導可能なPol IIプロモーター(Galプロモーター)との置換実験により検証した。その結果、GalプロモーターのON、OFFにより増幅組み換えもON、OFFされ、転写活性が増幅組み換えに必須であることが判明した。また増幅組み換えには姉妹染色分体間接着因子コヒーシンが抑制的な機能を担っていることから、転写活性とコヒーシンとの関係をChromatin immunoprecipitation (ChIP) assayで調べた。その結果、転写がONの時にはコヒーシンがDNAから解離し、逆にOFFになると結合してくることが判明した。さらに変異株を使った実験からE-proの転写はサイレンシングタンパク質Sir2により抑制されていること、またコピー数を人為的に減らした株ではE-proの転写が活性化することが判明した。 以上の結果からrDNAのコピー数調節機構として、E-proからの転写がコヒーシンの結合量を減少させることでrDNAの増幅組み換えを誘導しコピー数を増加させていることが判明した。
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Research Products
(3 results)