2005 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳動物細胞における複製開始複合体形成とその染色体安定性への関与の分子機構
Project/Area Number |
17080013
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
藤田 雅俊 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), ウイルス部, 室長 (30270713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 秀男 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (40253455)
水野 武 独立行政法人理化学研究所, 花岡細胞生理学研究室, 先任研究員 (30281629)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / 染色体 / DNA複製 / 細胞周期 / テロメア / Cdt1 / ORC |
Research Abstract |
Cdt1はORC/CDC6と共に、複製ヘリカーゼであるMCM複合体のloading機構を形成している。S期以降は再複製防止のために、ORC/CDC6はCdkリン酸化により抑制される。Cdt1抑制は抑制蛋白gemininの結合によると考えられていたが、Cdkリン酸化後にSCF-Skp2ユビキチンリガーゼに認識される分解制御も受けていることを、藤田らは以前明らかにした。藤田と西谷らは本年度共同研究を進め、Cdt1がさらにCu14-DDB1ユビキチンリガーゼによっても分解制御されていることを明らかにした。またCdt1結合蛋白の探索から、Cu14-DDB1によるCdt1ユビキチン化をPCNAが仲介しているという、極めて興味深くホットな所見を得て報告した。さらに、藤田らは他の新規Cdt1結合蛋白について研究を進めると伴に、Cdt1の脱制御が再複製を誘導することなく染色体障害を引き起こしATM-Chk2系を活性化すること、そしてヒト正常繊維芽細胞に染色体不安定性を誘導することを明らかにした。Cdt1はがん細胞において過剰発現しており、またそれが発がんに関わっている可能性も報告されつつある。よって上記の知見は、発がんにつながる新たな染色体不安定性誘導の分子機構を明らかにしたものと言える。加えて藤田らは、ORCがテロメア結合蛋白TRF2と結合し、この結合が複製制御とテロメア構造の維持において重要な役割を演じている可能性を示唆するデータを得つつあり、検討を進めている。一方水野らは、ORCおよびDNAポリメラーゼαの機能解析を進めた。その結果、マウスORC1、2、3、4にはスプライシングバリアントが存在する事、そしてORC1のバリアントには、核移行、リン酸化、タンパク質分解に重要なドメインが欠失している事を明らかにした。その意味については現在検討中である。また、マウスポリメラーゼαの温度感受性変異株を用いた解析から,ポリメラーゼαの変異がクロマチン構造の変化をもたらし、テロメア鎖の伸長反応に影響を及ぼすことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)