2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17081001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹島 浩 京都大学, 薬学研究科, 教授 (70212024)
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Keywords | 小胞体 / Ca2+放出 / リアノジン受容体 / Ca2+結合タンパク質 / 神経可塑性 / 後過分極 |
Research Abstract |
ジャンクトフィリン(JP)は細胞膜と相互作用し、小胞体膜を貫通することで結合膜構造の形成に寄与する分子として、研究代表者が分子同定した膜タンパク質である。哺乳動物ゲノムには、JP1~4と命名した4種の異なる遺伝子でコードされるサブタイプが存在し、興奮性細胞系特異的に発現している。中枢系の神経細胞では、JP3とJP4が共発現しており、以前作製したその単独ノックアウトマウスでは顕著な異常が観察されないことから、両者の機能的補完性が示唆されていた。今回、両サブタイプの同時欠損(JP-DKO)マウスを交配により作製することにより、神経細胞におけるJPの生理機能の解明を目指した。JP-DKOマウスでは、著しい運動協調性と運動学習の機能低下が複数の行動薬理学的実験にて観察され、小脳の機能異常が示唆された。小脳スライスでのパッチクランプ電気生理学測定において、平行繊維と登上線維より興奮性入力されるプルキンエ細胞(PC)の検討を遂行した。両線維の刺激によるスナプス伝達に関してはほぼ正常応答が記録され、JP-DKOによる小脳興奮神経回路の異常は誘導されていない。登上線維の刺激によるJP-DKO PCでの複合興奮波形を観察したところ、本来発生するはずの後シナプス電位(AHP)が欠損していた。薬理学的検討の結果、膜興奮→電位依存性チャネルによるCa2+流入→リアノジン受容体による小胞体Ca2+放出→Ca2+依存性K+チャネルの開口、というチャネル機能共役によりAHP相が形成されることが示され、JP-DKOではこの機能が破綻していた。また、この機構破綻は運動学習の基盤と考えられる長期抑圧という小脳可塑性に必須であることも明らかになった。従って、小脳PCにおけるJPは前述のチャネル共役に必須であり、膜興奮や可塑性の基盤が破綻していることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Calumin, a novel Ca2+-binding transmembrane protein on the endoplasmic reticulum.2007
Author(s)
Zhang, M., Yamazaki, T., Yazawa, M., Treves, S., Nishi, M., Murai
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Journal Title
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