2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランポートソームを対象とした分子実体を伴った相互作用ネットワークの解析
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17081003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 賢吾 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60332293)
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Keywords | 膜分子輸送複合体 / トランスポートソーム / DNAマイクロアレイ / 遺伝子共発現 / タンパク質立体構造 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、分子実体を伴ったシステムとしての膜輸送系ネットワークの構築とシミュレーションの実現を目指している。具体的には相互作用ネットワークの構築と、それらがどのように相互作用するのかを明らかにするために、複合体構造の予測と大規模な蛋白質膜系のシミュレーションを行う。 相互作用ネットワークの構築では、これまで開発を行ってきた遺伝子共発現データベースCOXPRESdbの拡張を行った。主な成果は、生物種をこれまでの3種から7種へと増やしたこと、共発現指標として、従来の相関係数に変わる相互ランク法を開発したこと、及び、共発現指標を多次元化し、ヒトなどの高等生物における複雑な発現制御関係を記述できるようにした点である。特に、多次元共発現指標により、従来手法に比べてより高い精度で何が相互作用するのかを予測できるようになった。 複合体の構造予測では、複合体構造の評価関数の改良を行い、複合体予測コンテストに参加をおこなった。これまでも良い予測結果が出せるようになっては来ていたが、常に良い結果というわけではなかった。しかし最終年度である本年度は、これまで開発を行ってきた評価関数の改良が実を結び、21年度に行われた予測コンテストでは世界トップレベルの予測精度を安定的に上げることができた。膜蛋白質系のシミュレーションでは、モデル膜蛋白質としてアラメシチンを含む系の大規模シミュレーションを行ってきたが、機能面での解析をより進めるために、新たにアクアポリンを含む巨大膜システムの大規模なシミュレーションを行った。結果は現在解析中であるが、10倍以上大きなアクアポリンの系でも、膜に対する影響はアラメシチンの時と同程度であるという結果を得た。この事は、タンパク質が膜に及ぼす影響は、大きさよりもタンパク質と膜の界面の特徴が大きく効いている事を示唆する結果であると考えている。
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