2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17081004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末次 志郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70345031)
|
Keywords | アクチン / 細胞膜 / 膜変形 / N-WASP / エンドサイトーシス / ダイナミン / 小胞形成 |
Research Abstract |
本年度の研究では、細胞がエンドサイトーシスや、ファゴサイトーシスなどで外界と物質をやり取りするときの細胞膜の形態形成に関わっていると思われるドメインを見いだした。Coiled-coilなどのダイマー形成領域を持っていて、さらに塩基性アミノ酸のクラスターを持つドメインの中から、FBP17やCIP4などのPCHファミリータンパク質に含まれるFCHドメインに着目した。脂質結合能を検討したところ、脂質結合能を有していることが分かり、FCHドメインとcoiled-coilドメインが脂質結合における機能単位になっていることを見いだしたので、FCH+coiled-coilをEFCドメインと名付けた。さらにEFCドメインの精製タンパク質が、in vitroで再構成した脂質二重膜を変形することを見いだした。細胞においてもEFCドメインを含むタンパク質の過剰発現は細胞膜の変形を引き起こした。PCHファミリータンパク質はSH3ドメインを持ち、N-WASPなどのアクチン細胞骨格制御タンパク質および、ダイナミンなどのエンドサイトーシス関連タンパク質と結合する。過剰発現による膜変形はN-WASPおよびダイナミンの過剰発現によって抑制された。また、過剰発現により変形した細胞膜は、EGFやEGF受容体などを含むことからエンドサイトーシスの中間系と考えられた。さらにEFCドメインを含むタンパク質が、エンドサイトーシスに関わっていることをRNA干渉による発現抑制実験により示した。これらをあわせると、EFCドメインを含むタンパク質は、N末のEFCドメインによって細胞膜を変形させるか、変形した膜を検知し、C末のSH3ドメインによってN-WASP依存的なアクチン細胞骨格再構成とダイナミン依存的な膜の切断を誘導すると考えられる。このようにPCHファミリータンパク質は膜の変形と細胞骨格やダイナミンを同時に引き起こすことでエンドサイトーシスの膜小胞形成を制御していると考えられた。
|