2007 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソームにおけるscaffold蛋白の役割の解析
Project/Area Number |
17081008
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畑 裕 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 光伸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00451930)
中川 健太郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70451929)
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Keywords | トランスポーター / チャネル / 細胞接着 / 細胞死 / Scaffold |
Research Abstract |
イオンや低分子を運ぶトランスポーター、チャネルは生体の恒常性維持に重要である。トランスポーター、チャネルの生理機能の全体を理解するためには、トランスポーターやチャネルと相互作用する分子をも対象として、機能的な分子複合体(トランスポートソーム)の全体像を解析する必要がある。本研究では複数の蛋白相互作用モジュールをもつscaffold蛋白がトランスポートソームの中で果たす役割に焦点をあてている。平成19年度には、神経細胞の興奮性、抑制性シナプスにおいてneuroliginなどの接着分子に結合し、前者ではNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)とも相互作用しているS-SCAMが、NMDARの活性化に応答して樹状突起スパインの形態変化を引き起こすscaffoldとして機能し、直接結合するNMDARのみならず樹状突起スパインに局在する他の受容体、チャネルのシグナル伝達にも影響しうることを明らかにした。また、S-SCAMを欠損するマウスが生後24時間以内に死亡する事実を確認し、数多いシナプスのscaffold蛋白の中でも、S-SCAMが他の分子では代償されない重要な機能分子であることを明証した。腎臓糸球体スリット膜のscaffold蛋白で、S-SCAMの上皮型アイソフォームであるMAGI-1について結合候補分子を同定し、この分子が細胞死誘導能を持つことを明らかにした。この分子のショウジョウバエホモログは、Merlinの下流で制御されるシグナル伝達系に関係しているが、Merlinは同時にNHE-RFなどトランスポーターの機能制御に重要な分子と複合体を形成する。そこで、現在、私たちが同定した分子が、哺乳動物においても、Merlinによって制御されるシグナル伝達系に関係するかを解析している。
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